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バンコク便り

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第14回「不良少年たちの暴力事件」

目撃した不良少年たちの暴行事件

 報徳堂のアーサーになったばかりのころ、2005年か2006年に目の前で起こった事件だ。
 その日はたまたまラチャダー通りを仲間の救急車でソイ8からソイ4の方に流していた。当時はソイ8とソイ6に朝までやっているパブレストランが多かったので、あの辺りは深夜はとにかく酔っ払いしかいないような場所であった。
 たまたま前のタクシーが酔客を拾うために詰まったときだった。ふと歩道に目をやると若者4人がひとりの男をたこ殴りにしていた。殺す勢いで殴る蹴るし、尋常ではない雰囲気があった。しかし、僕らはそういうときは見ているだけしかできない。どちらかの味方をしたと逆恨みされても困るし、そもそもそんな権限がないからだ。
 とはいえ、あまりの暴力に僕は窓を開けて、
「いい加減にしろ!」
 と叫んだ。彼らは屋根に赤色灯が乗っているのを見て警察と思ったのだろう。一目散に逃げ、タクシーを捕まえて乗り込んだ。
 それとほぼ同時に、同乗のアーサーが警察に無線連絡を入れていて、警官から「捕まえておけ」という命令を受けた。僕らはタクシーを止めて若者らを引っ張り出し、彼らを歩道に座らせた。内心、僕は「これはまずいでしょう」とは思っていた。あとで本部からも怒られるのではないだろうか。が、若者たちも公衆の面前で暴力を振るようなアホだ。それには気がつかなかった。
 若者らはその後やって来た警察に手錠をかけられ、現行犯逮捕で連行されていった。単に目が合ったからというのが暴行の理由だったようだ。

僕らが捕まえた暴行の犯人たち。
僕らが捕まえた暴行の犯人たち。目隠し越しでも、一見不良には見えないのだが…。


タイにいる不良少年の種類

 僕は2004年からアーサーをやってきて、これまでラチャダー通りだけでもかなりの数の乱闘事件を目撃してきた。いつも思うのは「タイ人って酒の飲み方が下手だなあ」ということだ。アルコールが入ると風船に針を刺されたかのように溜まっていたなにかが爆発するようなのだ。
 ある者は突然怒り、ある者は泣き、ある者は暴れる。こういった若者がやたらに多い。内輪でもめている程度ならまだいいが、同調した仲間が外部の人を攻撃し始めると集団ヒステリーのように止まらなくなってしまう。
 以前、雑誌でタイのギャングにインタビューした際、乱闘について聞いたことがある。逃げだしたり、止めたりしないの? と。しかし、そのギャングはさも不思議そうに言い放った。
「友だちがケンカしているのに、やらないわけにいかない」
 タイ語で不良少年はナック・レンという。このナック・レンは非行少年少女の総称だ。ときにギャングとも呼ばれるが、厳密には徒党を組んで暴力沙汰を起こす者がギャングである。
 デック・ウェンという言葉もある。こちらは暴走族。ウェンは改造バイクの排気音がタイ人には「ウェンウェンウェン」と聞こえるからだとか。暴走族にはデック・セップという呼び方もあり、こちらはモンスタークラブというアニメのキャラクター、セップ君にちなんでいるらしい。それから、デック・ウェンに同行する女の子たちはサーウ・サゴイだ。サーウは若い女性、サゴイは先のアニメに登場するあるキャラクターの口癖が日本語で「すごい!」らしく、それが元になっているとか。
 タイではあまり目立たないが一応マフィアもいる。ギャングとの違いは大ボスが大人であり権力者、本業が麻薬や売春、賭けごとの元締めをするなどが挙げられる。
 ギャングには2種類あって、マフィアの下部組織か独立集団で犯罪に手を染めるグループと、友人らと集まって度胸試しや自分の男らしさをアピールするためにケンカをするグループがある。当然後者はあまり危ないことはないが、前者はつばを道に吐きかけるくらい簡単に人を殺す。

数年前に暴行事件が起きたときに捕まった犯人。
数年前に暴行事件が起きたときに捕まった犯人。無関係の人を敵対グループの構成員と間違えて襲撃した。


現行法に守られた不良

 ナック・レンたちは意外にも経済的に中の下から中の中に多い。本当の貧困層は学歴社会のタイにおいて小卒中卒が多く、給料もスズメの涙程度で、日々を生きることが精一杯。そのため、グレて不満を漏らしている暇がない。マフィアの下部組織のギャングには貧困層もいるかもしれない。金を稼げるからだ。しかし、ナック・レンは、特に暴走族を見ればわかるように、バイクは親が買い与えたものであることが大半なので、それなりの経済力が家庭にあることが伺える。
 タイでは18歳までは保護施設や少年院へ収監されるだけで刑務所に入ることはない。それも殺人などよっぽどのことがない限りは保護者を呼んで引き取らせて終わってしまう。15歳未満は完全に子ども扱いだ。
 ある警察官が言っていた。
「現行法がこうなっている以上、我々にはどうしようもない。今ではちょっと無理をすればフェイスブックなどで市民に叩かれる」
 そう言われてみれば、10年以上前のタイでは暴走族に対しても警官が容赦なく発砲して制止していたが、最近ではめっきりそんな話は聞かなくなった。冒頭の、僕らが不良少年らを捕まえるなんてのも、今ではもうありえないことなのだ。


それでもなんだか憎めない面も持ち合わせる彼ら

 タイの学校は30代以上の日本人が子どものころに受けていた教育と似ているところがあるような気がする。体罰はあるし、教師は絶対的な存在で、校則など非常に厳格。目上の人の言うことはちゃんと聞かなければならない。
 さらに、タイの報道や大人たちは包み隠さずに権力と金がものをいう世界を子どもたちにまざまざと見せつける。リアリティーに抑えこまれた将来への不安や、自分の社会的な弱さから目を逸らすために、ナック・レンは暴力や違法行為に身を投じるのではないだろうか。
 そんな彼らには酒が入っていないと素直でいい子も少なくない。家に帰れば家族を大切にする姿も見られる。憎めない点もあるし、そういった面も持ち合わせていながら暴力や酒や麻薬に溺れる者もいてやるせない。
 ものすごく短絡的な僕の考えではあるが、まずはウィスキーを飲むのをやめたらいいのにと思う。ご存知のようにタイは酒税の関係でアルコールが物価指数から見て異様に高い。そのため、たくさん量があり、よりアルコール度数が高いウィスキーを飲む傾向にある。ひどいところでは「メコンウィスキー」系の、最早名前だけがウィスキーのものを出す店もあるほどだ。これをやめればいいのではないか。ビールにすれば、酔うにしても量は飲めないし、量を飲めなければ泥酔はしないのでケンカも少なくなるのではないだろうか。
 とにかく、ナック・レンの事件の現場を担当すると、なんだか虚しい気分になってくるのだ。

警官に命じられ、携帯電話で仲間を呼び寄せる犯人たち。
警官に命じられ、携帯電話で仲間を呼び寄せる犯人たち。この後ひとりがまんまと現れ、捕まってしまった。実はこの事件の直前に別の場所でもこいつらは暴行事件を起こしていた。

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  1. 2015/08/04(火) 10:56:17|
  2. 報徳堂
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プロフィール

bangkokdayori

Author:bangkokdayori
●プロフィール
高田胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター
報徳堂ボランティア隊ホアイクワン005

1977年東京生まれ
1998年初訪タイ。その後旅行で何度かタイを訪れ、2000年から1年間、ユニオン・ランゲージスクールに語学留学
2002年9月からバンコク在住
2004年11月から華僑報徳善堂にボランティア隊員として参加
2011年2月に彩図社より「バンコク 裏の歩き方』(皿井タレー共著)、2012年8月に同社より「東南アジア 裏の歩き方」を出版
現在はバンコクに編集部がある月刊総合誌「Gダイアリー」に複数の連載やほぼ毎月特集記事を、ウェブサイト「日刊SPA!」やバンコクの無料誌「DACO」にて不定期で執筆中

http://nature-neneam.boo.jp/

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