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バンコク便り

第32回「ベトナムからタイを感じるとき 前編」

 タイがビジネス的にも人気国である理由のひとつに、東南アジア各国やヨーロッパに行きやすいメリットが挙げられる。空港からどこにでも飛べるし、陸路でもアジアのほとんどの国に行くことができる。
 海運ならベトナムの方が日本に近いし、ベトナム人も勤勉だと言われるが、タイほど人気が出ないのは、社会主義国であることで手続きなどが容易ではないということがかつてはあった。それでも昨今のベトナムは観光でもビジネスでも人気が出ている。観光に最適な首都ハノイ、ベトナム第2の都市である南部のホーチミン、中部の港湾都市ダナン。これらの都市なら日本から直行便も飛んでいる。
 僕自身も近年はベトナムが大好きで、年に何度も足を運んでいる。以前はラオスの首都ビエンチャンに通っていたが、数年かけて行ったベトナム戦争時の不発弾問題の取材活動が一段落して、行き先をベトナムに変えた。
 ラオスは、まず言語がタイの東北方言であるイサーン語とほとんど同じことと、ラオス国内ではタイのテレビ番組が普通に放送されていること、さらに歴史的には主要民族のルーツがタイの主要民族と同じとされることから、ビエンチャンならほとんどタイと変わらない。つまり、僕みたいなタイ在住者が行くと、タイの地方都市に遊びに行くのとさして差がないのだ。
 その点、ベトナムは文化的に似ているように見えるがまったく違うし、言葉も全然違うので、外国に来たという実感を持てる。これも僕がベトナムが好きな理由だ。

タイとの共通点は緑が多いこと
タイとベトナムの共通点は緑が多いこと。


ベトナム人気質は地方性があるとされる

 タイは、たとえば料理で見ると、バンコクも地方も大して違いはない。イサーン料理(東北料理)、北部料理、南部料理という大きな括りはあるものの、この県でしか食べられない野菜や特産物というのがほとんどない。地方性があるようでないのがタイといった感じだ。
 ベトナムは、戦争があったり、地理的な関係からか、地方性が強く存在すると感じる。北部、中部、南部の料理がそれぞれ違うし、極端に言えば、地方によってベトナム人の性質も違うようだ。タイではどこそのこの県民の気質といった話はあまり聞かない。しかし、ベトナムだとステレオタイプながら、あの地方の人は、といった噂をよくしている。この点はタイとベトナムは大きく違う。
 僕自身はベトナム語がまったくできない。憶えているのもせいぜいモッ、ハイ、バー(1、2、3)くらい。だから、あくまでもベトナム人たちが言い合っているのを聞いているに過ぎないのだが、北部の人は冷たいといった評価が多い。身内以外には優しくないのだとか。南部人は南国気質で陽気、悪く言えばいい加減ということを聞く。中部は嘘つき、あるいは信用ならないとよく言われている。
 ホーチミンの若者たちは確かに陽気で、屋台で飲んでいると打ち解けやすい。北部では屋台の隣の人と仲よくなることは滅多にないので、彼らの言うことにも一理はありそうだ。ただ、中部のダナンなどを周遊したが、そのときに中部人が嘘つきという印象はまったく受けなかったけれども。それを言ったら、ベトナム人が建国の父と崇めるホー・チ・ミンは中部出身であるのだが(正確には北中部)。

南部ホーチミン市の様子
南部ホーチミン市の様子。

中部ダナンは橋の街
中部ダナンは橋の街と言ってもいいほど、橋が多く架かっている。

週末だけ歩行者天国
南部の安宿街、ブイビエンは週末だけ歩行者天国になる。


ビールがタイと比べものにならないほど安い!

 ホーチミンの街の造りはバンコクに似ている気がする。もちろん建物の様子や、大通りと小路の構成が違うのだが、同じ南国だからか、雰囲気がどことなく似ている気がするのだ。
 僕がホーチミンに滞在するときはブイビエンという通りの宿を選ぶ。ここはバンコクで言うと安宿街で有名なカオサン通りに相当する。安宿のほかにも旅行社や飲食店、バーなどのほか、一芸や小物を売り歩いて小銭を稼ごうという人も多い。
 近年のタイはずいぶんと欧米化しているというか、かつては曖昧な部分が多かったところだったが、今はどんどん規制や法整備が進んでいて、外国人が東南アジアに求めてるアメージングな部分が消えている。
 もちろんいいこともあるのだが、たとえばタバコを吸える場所がどんどん減っているだとか、屋台が規制されて撤去されているだけでなく、そもそもひと皿の値段が高くなってしまい、屋台の楽しみがなくなっているなどが挙げられる。
 だから、もうここ数年はカオサン通りに日本人は行かなくなっていて、低予算で世界を周るバックパッカーはタイを避け、カンボジアやインドに行くという。
 そういったカオサンにないものが、いまだブイビエンには残っていて、安く海外を歩きたければ最高の場所だと思う。ベトナム全体に言えることだが、ビールがコンビニなら炭酸飲料水とほぼ同じだし、バーで飲んでも安いところなら1米ドル程度だ。音楽も近所迷惑など考えていないかのように大音量だし、明け方まで楽しめる。

人気の「ヨーグルト・コーヒー」
ベトナム主要都市にあるカフェで人気の「ヨーグルト・コーヒー」。

炭酸飲料が150円のこの店ではビールは100円
日本円で約150円の炭酸飲料だが、この店ではビールが100円だった!

中部名物の鶏肉のおかゆ
中部名物の鶏肉のおかゆ。絶品で、しかも100円という安さ。

生春巻きは安くておいしい
生春巻きは安くておいしい。


好きなのはハノイである理由

 街を楽しむなら、ハノイもおすすめだ。安宿は旧市街と呼ばれるエリア、ホアンキエム湖周辺にある。街並みがベトナム、中国、フランスを混ぜたような雰囲気があり、これぞベトナムといった場所だ。旧市街は全体が市場のようなものなので、活気もあって飽きない。
 どちらかというと僕はハノイが好きだ。ホーチミンはどうしてもタイっぽさがあるので、なにかとタイと比較してしまう。そうすると、ベトナムの方がまだまだないものが多く、バンコクに軍配が上がってしまう。しかし、ハノイなら比べられるものはあまりないので、とにかく「外国に来た」と実感できるので好きなのだ。
 同じ東南アジアならシンガポールほどではないにしても、バンコクはベトナムと比較すれば大都会だ。そこに僕は慣れすぎているのかもしれない。初めてのタイ、あるいは移住したばかりのころは右も左もわからないし、タイ語も十分ではなかった。また、物質的な豊かさはなく、手に入らないものもたくさんあった。要するに、不便だったわけだ。
 ベトナムはそんな当時のタイのような雰囲気、もしくは僕自身があのころに戻ったような気持ちになれる場所でもある。たまにハノイやホーチミンで路線バスに乗ってみるのだが、ちゃんと目的地に着いたときの感動たるや。かつてタイに来たばかりのときも同じことをしたものだ。
 こうやって、かつての、小さなことにもいちいち感動していた自分を再体験し、また便利になったタイを再認識する。僕のベトナム旅行はそんな確認の旅なのかもしれない。

ハノイはハノイビールを飲む
ビールにも地方性があり、ハノイはハノイビールを飲む。

屋台にいた中部出身の女性
屋台にいた中部出身の女性。面倒見がよく、優しい人だった。

ハノイの安宿街は旧市街全体に
ハノイの安宿街は旧市街全体に広がる。

蒸したカニを売る屋台
旧市街の市場で蒸したカニを売る屋台。

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  1. 2019/08/21(水) 19:30:24|
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プロフィール

bangkokdayori

Author:bangkokdayori
●プロフィール
高田胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター
報徳堂ボランティア隊ホアイクワン005

1977年東京生まれ
1998年初訪タイ。その後旅行で何度かタイを訪れ、2000年から1年間、ユニオン・ランゲージスクールに語学留学
2002年9月からバンコク在住
2004年11月から華僑報徳善堂にボランティア隊員として参加
2011年2月に彩図社より「バンコク 裏の歩き方』(皿井タレー共著)、2012年8月に同社より「東南アジア 裏の歩き方」を出版
現在はバンコクに編集部がある月刊総合誌「Gダイアリー」に複数の連載やほぼ毎月特集記事を、ウェブサイト「日刊SPA!」やバンコクの無料誌「DACO」にて不定期で執筆中

http://nature-neneam.boo.jp/

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