バンコク便り

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第15回「タイに多い直線番長たち」

直線で事故が多いのは人気のレースの影響?

 タイで車を運転していて常々思うのは、タイの交通事故は直線で多発するのはなぜなのだろうか、ということだ。運転免許試験の実技が発進と停車、バックと縦列駐車しかないようなところなので、そんなものなのかもしれないが、いくらなんでもひどいと思うのだ。
 バンコクからコラートに向かう国道1号線をサラブリーで2号線に乗り換えてすぐにセメント工場がある峠になる。結構な急勾配で、特にコラートからの上り線はカーブも急で事故が起こりそうなレイアウトになっている。しかし、故障車こそあれ、あそこで事故を見かけたことは一度もない。逆にナワナコン工業団地前の大通りやドンムアンの周辺の高速や下の道では頻繁に見かける。
 数年前に取材のため、タイのモータースポーツに関わる日本人たちと話をしたことがある。その中のある人が案内した日本の超有名ラリーレーサーが漏らしたタイの道路の感想を聞いた。
「タイの一般道や高速道路はサーキットと同じ舗装をしている」
 ミューと呼ばれる、いわゆる摩擦係数が低い仕様になっていて、非常にスリッピーな状態だというのだ。雨が降れば格段に危険度が上がる。僕自身もバンコクのペッブリー通りで、乾季のありえない土砂降りの直後にスリップ事故を起こしたことがある。砂埃が浮いていたのもあるし、洗浄のために撒いたかと思われる緑色の洗剤が残っていたのもあるが、やはり雨の路面は滑りやすいとはそれまでも感じていた。
 また、レース関係者の取材を進めていくうちにわかったのは、どうやらタイのレースカテゴリーで人気があるのは、よくテレビで見るドリフトではなく、直線約400mを争うドラッグレースだということだ。日本では定着しているカテゴリーではないのだが、ここタイにおいてはものすごく人気で、おそらく集客力がどのカテゴリーよりも多い。
 実際に実力も世界的に見て非常に高いそうで、特にディーゼルエンジンのチューンナップに関しては日本でさえも追いついていないそうだ。タイはピックアップ・トラックが多く、ディーゼルエンジンを積んだピックアップ・ユーザーが特にドラッグレースが好きなので、自然、その改造技術が向上するのだ。
 ドラッグが主流のせいか、サーキットを走るカテゴリーの整備もドラッグ寄り、つまり直線重視のセッティングが多いという。サーキットのピックアップ・カテゴリーには日本人の会社社長がセミプロ・レーサーとして参戦している。その方に聞いたところ、運転の仕方もだいぶ直線重視のテクニックだそうだ。
 僕が高校生のころはいっぱしにバイクを運転するがカーブは慎重な奴を「直線番長」と冷やかしやものだ。タイではどちらかというと、そういった直線番長が多いのかもしれない。そのため、直線における事故が多発するのではないだろうか。

次元が違うところで勝負している
ドラッグレースが盛んなタイでは、日本よりも数秒ほど次元が違うところで勝負している。

ピックアップトラックがタイヤを空転させて温めている
ドラッグレース用に組み上げられたピックアップトラックが黒煙を吐き出しながら、タイヤを空転させて温めている。



実際に駆けつけた現場の多くが直線

 レスキュー活動中に出動する事故現場でも、直線でのものが結構多い。というか、ほとんどがそれであると言っていい。渋滞の最後尾に追突するのはまだありえるとしても、ラチャダー通りに特に多い交差点トンネルの手前にある分離帯に乗り上げるなど、理解し難い事故もある。
 数年前にテレビ番組がジェンワッタナ通りの報徳堂アーサーの活動を撮影している目の前で、事故バイクの回収をしていたアーサーたちに車が突っ込んできた。この事故もまた直線道路だった。これは飲酒運転だったのでそんなものかもしれないが、とにかく前を見ていないのではないかという勢いで事故を起こす輩が多い。
 タイ・カルチャーセンターの近くにある在タイ韓国大使館前も一直線でありながら事故多発地帯となっている。確かに、どぶ川を越える小さな橋があるのでバランスを崩しやすい。タイ全土で同じ傾向にあるが、タイの小さな運河やドブ川にかかる橋はなぜか台形になっている。もうちょっと丸く作ればいいのにわざわざ角ばらせていて、ちょっとスピードを出しすぎているとジャンプしてしまうほどの形状になっている。
 韓国大使館の前での事故で横転事故をかなりの数見てきたと記憶している。横転の現場というのは毎回「どうやったらこうなるのかね」と感心してしまう。さらに驚くべきことは、僕が見てきた事故に限ってでは重傷者が一度も出ていない。見た目の派手さとは違って、事故内容は意外と地味だったりするのだ。
 レスキューに参加したばかりのころにもラートプラオ通りで横転事故があった。高校生満載で直線にて横転し、全員無傷だった。
 一度でいいので、ぜひ生で横転事故を見てみたい。その生還率の高さのメカニズムをこの目で確かめてみたい。

韓国大使館前の直線道路で横転したタクシー
韓国大使館前の直線道路で横転したタクシー。これで運転手も乗客も軽傷だった。

この事故では若者ふたりともかすり傷ひとつなかった
この事故では乗っていた若者ふたりともかすり傷ひとつなかった。



横転事故の現場処理は意外と簡単

 横転現場では事故処理もしなければならない。要するにひっくり返った車を片づけなければならない。
 さすがにひとりでは重いが、たった4人程度でもかけ声をかければ簡単にごろりと転がして元に戻せてしまう。よく海外の暴動映像で車がひっくり返されていたりするが、あれは実は意外とちっぽけな行動なのだ。
 軽いといえば、日本では車を駐車した際にサイドブレーキを引くことは普通だったが、タイでは縦列駐車に限りギアはニュートラルに入れてサイドブレーキを引かないのが常識になっている。隙間なく停めるので、出庫の際に押して車間を作らなければならないからだ。これがまた思っているよりも車は軽いことを知る。片手でも十分に動く。
 縦列駐車をするたびにいつも思い出すのが、埼玉の大宮駅での出来事だ。もう20年も前の話になるが、深夜にチンピラのような男に
「免許持ってる? 俺、免停中だからこの車を1メートルだけでいいから動かしてくれないかな」
 と頼まれた。これは細工がされた車で、少し動かすとうんともすんとも言わなくなり、金を出せとかそういうことになる、当時流行っていた恐喝の手口だ。今なら「押せばいいじゃん」と思うが、当時は車がこんなに軽いなんて知らなかったし、その手口も知っていたので「俺も免停」と相手にしなかった。
 さて、現場に話を戻すと、そういった横転現場ではアーサーが力を合わせてひっくり返った車を元に戻す。横転事故の場合は大概側面もぼろぼろでガラスも割れているので、手を切らないよう注意して、あとは力任せに押せばいい。
 ただ、路面と屋根の塗装が意外と滑るのでただ押すだけだとつるっと横滑りしてしまうから、誰かに反対側を軽く押さえてもらいながら持ち上げるように押す。バリバリと音を立てながら横向きになる車。そしてもう一度軽く押さえてもらいながら角度をつければタイヤが地面に接してストッパー代わりになる。あとは力任せに押し出してしまう。
 またガラスが割れたり、車内のものが破壊される音を立てながら、車は元に戻る。普通に生活している分には車をひっくり返したりすることはないから、車をどうかしちゃっているという快感を味わえるので、実は結構楽しい。暴動で車をひっくり返したり燃やしている輩はたぶん気持ちいいからやっているだけなのだろう。
 とまあ、ひっくり返った車を戻したところで、なぜ直線で事故が多いのかという謎は解明されはしない。今日もいろいろな直線で車が事故を起こしているだろう。

我々が元に戻す際に滑らせてしまった
擦れたようなあとは、実は我々が元に戻す際に滑らせてしまったから。

交差点の地下で単独で横転
ホワイクワン交差点の地下で単独で横転。バイク事故ならともかく、四輪でどうしてこうなるのか…。

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  1. 2015/09/14(月) 23:40:14|
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bangkokdayori

Author:bangkokdayori
●プロフィール
高田胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター
報徳堂ボランティア隊ホアイクワン005

1977年東京生まれ
1998年初訪タイ。その後旅行で何度かタイを訪れ、2000年から1年間、ユニオン・ランゲージスクールに語学留学
2002年9月からバンコク在住
2004年11月から華僑報徳善堂にボランティア隊員として参加
2011年2月に彩図社より「バンコク 裏の歩き方』(皿井タレー共著)、2012年8月に同社より「東南アジア 裏の歩き方」を出版
現在はバンコクに編集部がある月刊総合誌「Gダイアリー」に複数の連載やほぼ毎月特集記事を、ウェブサイト「日刊SPA!」やバンコクの無料誌「DACO」にて不定期で執筆中

http://nature-neneam.boo.jp/

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