バンコク便り

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第25回「レディーボーイはやっぱり男!?」

タイはニューハーフが多いように見えるが実は

 最近はテレビでタイを扱った内容やタイでロケをしたというバラエティー番組が多く、僕が初めてタイに行ったころの1998年以前と比べれば日本国内でタイがかなり浸透したと感じる。
 そんなタイについて、一般的な人が思い浮かべるものと言えばトムヤムクン、ムエタイ、象や寺などがあるかと思う。そして、一度だけでもタイに足を運んだことのある人が挙げるとすれば、ニューハーフが多いというのもあるのではないだろうか。
 ニューハーフのキャバレーショーは観光コースに入っていることもよくあるし、街中の飲食店、小売店で店員をしている姿も見かける。会社員でも普通に働いているし、大学ではトイレをニューハーフ用に用意しているところもある。
 ニューハーフはタイ語ではガトゥーイと呼び、英語ではレディーボーイという。ゲイやレズビアンは同性愛であり、最近は性的な嗜好はノーマルながら女性の服を着る女装子(じょそこ)などもいるが、彼らのは趣味や性癖だ。レディーボーイは性同一性障害(GID)、つまり男性に生まれながら精神面の性別が異なるため、肉体的性別に違和感を感じる精神疾患のひとつになる。原因はいまだ解明されておらず、レディーボーイは3万人にひとりの割合だとされている。
 ここで気がついた人もいるかと思うが、3万人にひとりということは人口から考えると日本の方が多いことになる。実際に医学的には日本の方が多いとされる。ただ、世界的に見ても正確なGIDの数はわかっていない。統計では肉体的性別で登録され、タイのように戸籍変更ができない国もあるし、生まれてから死ぬまで自身がGIDだと気づかないままの人もいる。
 タイはわりと個人主義的なところが強く、他人がどういったことをしていても咎めることはほとんどない。日本は村社会的な面がまだあり、堂々とGIDを公言できる社会ではまだまだない。少なくとも、GIDを表明すると、日本では仕事に制限ができてしまう点は否めない。だから、タイはレディーボーイが多く「見える」というだけに過ぎない。
とはいえ、実際に見える範囲に彼らはたくさんいて、レスキューにおいてもやはり彼らが関わってくる案件というのはしばしばあるものだ。幸い、僕自身が関わってきた事案では深刻なものはなく、どれも笑えるエピソードばかりで・・・・・・。


泣く弟に豹変したレディーボーイ

 今でこそ廃れてしまったラチャダー通りだが、10年くらい前まではディスコや早朝まで営業するレストランで深夜0時以降から賑わっていた。ある夜、待機していた我々ボランティアグループに背の高いスラッとした女性が話しかけてきた。一瞬わからなかったが、レディーボーイだ。
「お財布を落としちゃったみたいなんだけど、手伝ってくれないかしら」
 落ちてましたか、とか、落としましたではなく、あくまで他人事のような感じの言い方だった。彼女(?)のうしろにはシクシクと泣く少年のような男(たぶん18歳以前後くらい)が立っていた。そのレディーボーイの弟で、タクシー乗り場の下にあった排水溝に財布を落としてしまったらしい。運悪く、蓋は鉄格子のようなタイプだった。
 懐中電灯で排水溝の口を照らすと、なんとちょうど財布が沈んでいくところだった。ぽちゃん。そんな音が鳴ったように僕には聞こえた。さらに激しく泣き出す弟。正直、ギャグマンガのシーンのようで僕は笑いをこらえるのに必死だった。そして、さらに予想外の展開になる。
「よし待ってろ! 拾ってやる!」
 ひとりの隊員が言った。ウソでしょ? と内心思っていたが、みんなでその蓋を持ち上げ、彼は本当に排水溝に入っていった。水面は地面から1.5メートルは下にあり、さらに隊員の胸まで浸かってしまうほどに深い。我々は懐中電灯で水面を照らすが、水が濁っているので手探りするしかなく、ゴミばかりを掴んでしまう。
 隊員が必死に探している中、シクシクとまだ泣いている弟。そのときだった。
「いい加減にしろ! イライラするんだよ! 泣くな!」
 完全に男の声で弟を叱りつける兄、いや姉。むしろ弟の方が女に見えた瞬間だった。その数分後、奇跡的に財布はみつかった。ドブに浸かっていた隊員はその日そのまま家に帰っていった。

財布を落として泣いている男
右のうなだれているように見えるのが本文の財布を落として泣いている男。

悪臭を感じる
この距離でそこそこに悪臭を感じる。

懐中電灯で照らす
懐中電灯で照らすが、ほぼ意味はない。

顔まで浸かるほどがんばる隊員
ほぼ顔まで浸かるほどがんばる隊員。ボランティア精神に溢れすぎている。


どっちが女らしいのかわからないケンカ

 レスキューはあくまでも事後処理の係だ。警察とは違い、犯人を捕まえたり、事件事故を未然に防ぐわけではない。同時に、レスキュー本部も積極的に解決する側に回ることをよしとしない。万が一巻き込まれてケガ、あるいは死亡でもしたら困るからだ。
 ラチャダーを始め、繁華街で苦慮するのがケンカだ。タイ人は総じて酒の飲み方が下手で、よく揉めごとを起こす。そのため、繁華街がある地域のチームは大体その近くで待機をしている。そうなるとまさにケンカが始まる瞬間を目撃することもある。
 こういったケンカの仲裁も本部から禁じられている。見方によっては相手に加担したと思われ、逆恨みされるからだ。また、男性のケンカであれば銃やナイフなどもあるし、素手であってもそれなりのパワーがあるので隊員のケガに繋がる恐れがある。ただ、女性同士のケンカの場合はケースによっては仲裁をしてもいいとなっている。殴り合いといっても女性同士であればたかが知れているからだ。
 とはいってもそのルールのどちらに当てはまるかわからないケンカもときに起こる。そう、女の子対レディーボーイのケンカだ。
 ある夜、ラチャダーのディスコ近くでの出来事だ。待機している我々の目の前で怒鳴り合いが始まった。屈強そうなレディーボーイ3人と、小柄でかわいらしい色白の女の子3人だった。どうもこっちを睨んだ睨まないの中学生のような理由で口論になっているようだった。最初こそ罵り合いだったが、そのうち掴み合い、さらには殴り合いにまでなった。
 我々隊員らで顔を見合わせてしまう。このケースは果たして女対女のケンカなのだろうか。僕自身は女の子たちがかわいかったこともあり、ちょっと下心もあって止めに入ってみた。すると、女の子のキックがもろに股間に入ってしまい、その場に崩れ落ち、揉み合いの真ん中でもみくちゃにされた。ズボンは泥だらけで、戦闘に巻き込まれたかのような姿になってしまう。隊員たちは大爆笑だ。
 仕方なく静観していると騒ぎが大きくなってきて、誰かが通報したのか警察官がやってくる。しかし、ヒートアップしている彼女たちは止まらない。そこで警察官が空に向かって1発発砲した。今はこの方法は許されないみたいだが、当時は騒動を少人数の警察官で治めるための方法としてよく使われていた。
 しかし、この方法で止まるのは男だけのようだ。実際にほかの現場で男性の大乱闘現場でそれをするシーンを見たが、1発で静まる。女性の場合、ヒステリックな状態になっていると、互いのテンションが相乗効果を与えてヒートアップするようで、拳銃の音でさらにカーッとなってしまったようだった。
 おもしろいのは、拳銃で女の子たちが「この野郎!」とさらに怒りが倍増したのに対し、レディーボーイたちはピタッと制止してしまったことだ。タイのレディーボーイには男がやや残っているのだろうか。
 止まったことをいいことに、ひとりの女の子がひとりのレディーボーイをパンチし、警察官とそれぞれの男友だちらによって取り押さえられてケンカは終息した。その後、女の子たちは興奮冷めやらぬ状態でレディーボーイたちを睨みつけ、レディーボーイたちは男友だちに「叩かれた~」と泣いてすがっていた。どっちが女らしいのか、わけがわからなくなった。

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  1. 2017/06/15(木) 19:27:18|
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bangkokdayori

Author:bangkokdayori
●プロフィール
高田胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター
報徳堂ボランティア隊ホアイクワン005

1977年東京生まれ
1998年初訪タイ。その後旅行で何度かタイを訪れ、2000年から1年間、ユニオン・ランゲージスクールに語学留学
2002年9月からバンコク在住
2004年11月から華僑報徳善堂にボランティア隊員として参加
2011年2月に彩図社より「バンコク 裏の歩き方』(皿井タレー共著)、2012年8月に同社より「東南アジア 裏の歩き方」を出版
現在はバンコクに編集部がある月刊総合誌「Gダイアリー」に複数の連載やほぼ毎月特集記事を、ウェブサイト「日刊SPA!」やバンコクの無料誌「DACO」にて不定期で執筆中

http://nature-neneam.boo.jp/

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