バンコク便り

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第7回 「不謹慎だが、笑ってしまう現場もある その1」

まじめにやるほど笑ってしまうこともある

 今回から数回ほど、不謹慎だが笑ってしまった現場の話をしたい。
 我々アーサーも現場には緊張感を持って急行する。表向きは社会貢献だとか功徳だとか言うけれども、実際には特にすることもないし、サイレンを鳴らしてかっこよく走れるならと暇つぶしでやっているアーサーも少なくない。僕自身はそれを否定する気はない。動機はなんであれ、そしてそこに人助けをしたいという気持ちがないにしても、その行動で救われている人は確実にいるからだ。とはいえ、救急救命に携わる以上、現場で応急手当を確実にこなし、病院までいかに早く搬送するかを考え、どんなアーサーも急行時は多少でも緊張の面持ちになる。
 しかし、緊張すればするほど失敗することもある。現場が真剣であればあるほど、やっぱりおもしろいことが起こってしまうのだ。


死後硬直が始まった遺体回収現場で

 ある日、ラートプラオ通りソイ1のアパート前で40代前半の男性が亡くなっていた。我々が現場に着いた時点で死後数時間が経過している。この男性は直前まで友人らとソイの中にある雑貨屋前で酒を酌み交わしており、眠くなったからとピックアップトラックの荷台で横向きになり、自分の腕を枕にしながら眠り、そのまま亡くなった。
 人が死にしばらくすると死後硬直が始まる。この硬直はいずれ解けるもので、外気温との影響で始まる時間、終わる時間が違う。そのため、鑑識や司法解剖でおおよその死亡時刻が判明する。
 警察の確認が終了し死体回収になった(なぜかは憶えていないが、監察医は来なかった)。
 昔からタイで死体を回収する際は大きな麻の布を使っている。そこに死体を乗せ、頭と足の部分でぎっちりと布の端を結ぶとまるで棒のように硬くなって運びやすくなる。アメリカなどで使用されるジッパーがついたナイロン製のような死体袋もタイ政府と報徳堂などで一時期検討されたようだが、今のところ採用されていないようだ。
 男性を回収したときは死後硬直まっただ中だった。仰向けにしても寝ていた形のままになっている。枕にしていた腕がちょうど僕の側に来たので、僕はその腕をキコキコと何度も動かした。関節を屈伸させると硬直が解ける。何度も何度も動かして、まっすぐにする。周囲の野次馬も真剣な眼差しで僕を見つめる。日常では見られない光景だから当然だ。
 だいぶよくなったが、なかなかまっすぐにならない。しかし、警察も報徳堂本部の人も早くしろという無言のプレッシャーを与えてくる。周囲の野次馬に「あの日本人、仕事できないな」と思われたくもない。仕方がないのでやや曲がった腕を布で押さえ込むように包み、頭と足の部分で麻布を縛った。
 そして、数名の隊員と共に「1、2、3!」のかけ声で死体を持ち上げた瞬間、びよ~んとバネが跳ねるように腕が布の隙間から飛び出した。
 現場は大爆笑だった。

死体を布で包んだ状態。
死体を布で包んだ状態(警察病院司法解剖室前にて)。

死体は本部の車に積み込まなければならない。
死体の搬送はアーサーの車は許可されておらず、本部の車に積み込まなければならない。

街なかで発見された死体の回収。
街中で発見された死体の回収。布に紙を敷いている。

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  1. 2014/12/25(木) 18:34:50|
  2. 報徳堂
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プロフィール

bangkokdayori

Author:bangkokdayori
●プロフィール
高田胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター
報徳堂ボランティア隊ホアイクワン005

1977年東京生まれ
1998年初訪タイ。その後旅行で何度かタイを訪れ、2000年から1年間、ユニオン・ランゲージスクールに語学留学
2002年9月からバンコク在住
2004年11月から華僑報徳善堂にボランティア隊員として参加
2011年2月に彩図社より「バンコク 裏の歩き方』(皿井タレー共著)、2012年8月に同社より「東南アジア 裏の歩き方」を出版
現在はバンコクに編集部がある月刊総合誌「Gダイアリー」に複数の連載やほぼ毎月特集記事を、ウェブサイト「日刊SPA!」やバンコクの無料誌「DACO」にて不定期で執筆中

http://nature-neneam.boo.jp/

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