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バンコク便り

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第8回 「不謹慎だが、笑ってしまう現場もある その2」

 前回に続き、今回も僕自身が引き起こした失敗で笑い話になってしまった不謹慎な話をしたい。
 ラチャダーの中国大使館裏手の住宅街でけが人がいるという通報があったときのことだ。タイミング悪く、僕の無線は電池切れでなにが起こったのかがまったくわからないまま現場に立たされることになった。
 現場に着くと40代後半くらいの男性が鉄柵に乗り出して上を見ている。アーサーの先輩らも大きな声で「大丈夫か?」とか「もう少し我慢してくれ」と声をかけていた。ときどき上を見てはそんなことを何度も言っていた。状況から判断するに、数メートル上のベランダにけが人がいるのだと僕は考えた。

現場に一緒に行った先輩アーサーのひとり。
現場に一緒に行った先輩アーサーのひとり。

 現場はタウンハウスの端だった。タウンハウスはバンコクなど大きな街に多い、2階から4階建てくらいの長屋状の建物だ。

タウンハウス。
写真はハートヤイだが、タウンハウスとはこのように隣とくっついている長屋状の建物。

 その時点では僕はまだけが人が見えておらず、手当の準備に取りかかっている先輩らには訊けなかったので、その柵にいる中年男性に「どこにいるの? そこから見える?」と訊いた。しかし、このおじさんは答えてくれない。僕はおじさんの頬に顔を寄せるようにして一緒に上を見た。おじさんには見えているのだと思っていた。そんな僕に先輩が言った。
「なにしてんだよ!」
「いや、どこにけが人がいるか見えないんだけど」
「なに言ってるんだ、おまえは」

僕のイメージしていたけが人。
現場到着時の僕のイメージでは、こういったけが人がいるのだと思っていた。

 結論から言えば、そのおじさんが要救助者であり、鉄の柵に串刺しにされその時点ですでに死亡していた。僕は死体に顔を寄せていたおバカなアーサーになっていたようだった。野次馬はまだ遠巻きに見ているだけだったのでほかの人にはなにが起きているかはわからなかっただろう。死体を前に先輩アーサーたちは肩を震わせて笑いをこらえていた。
 このおじさんは数軒先の内装工事を請け負っていた職人で、住み込みで働いていた。夜、酒盛りになり、トイレに行くふりをして2階のベランダから端に回り、飛び降りてまた1階から入ればみんな驚くだろうと思ったのだと推測される。しかし、2階のベランダは6メートルはあり、しかも隣の家が串状になった鉄柵を作っていたので、左脇腹から右の鎖骨まで貫かれて死んだのだった。
 この事件は写真付きで翌朝の新聞の一面の端に小さく載った。僕は手だけが写っていた。これが僕のタイ・メディアのデビュー写真となった。
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  1. 2015/01/26(月) 16:02:28|
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  3. | コメント:0
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プロフィール

bangkokdayori

Author:bangkokdayori
●プロフィール
高田胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター
報徳堂ボランティア隊ホアイクワン005

1977年東京生まれ
1998年初訪タイ。その後旅行で何度かタイを訪れ、2000年から1年間、ユニオン・ランゲージスクールに語学留学
2002年9月からバンコク在住
2004年11月から華僑報徳善堂にボランティア隊員として参加
2011年2月に彩図社より「バンコク 裏の歩き方』(皿井タレー共著)、2012年8月に同社より「東南アジア 裏の歩き方」を出版
現在はバンコクに編集部がある月刊総合誌「Gダイアリー」に複数の連載やほぼ毎月特集記事を、ウェブサイト「日刊SPA!」やバンコクの無料誌「DACO」にて不定期で執筆中

http://nature-neneam.boo.jp/

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